
FXは政治情勢にも大きな影響を受けます。2012年からのアベノミクスにおいては、それまでの円高傾向が反転し、大きな円安傾向が続くことになりました。
FX取引で利益を出すためには、政権交代や政策変換、追加施策などの政治情勢についてもきちんとチェックすることが大切です。アベノミクスを題材に、政治情勢とFX取引の関係性について具体的に見ていきましょう。
アベノミクスとFXチャートの関係
2012年11月16日の衆院解散、正確には16日の解散が約束された11月14日の党首討論から現在に至るまでの、安倍政権が実施してきた下記の三本の矢政策は、日本経済の立て直し、為替レートの正常化に向けて大きな成果を挙げてきました。
- 金融緩和
- 財政政策
- 民間投資
FXチャートに対して特に影響が大きかったのが「金融緩和」政策になります。金融緩和施策は、中央銀行からの貸出金利を下げるものであり、それによって企業の経済活動や個人の消費活動が活発化され、経済の景気を上向かせる影響があります。
一方で、政策金利を下げることは通貨を買う魅力を減らすため、通貨の交換レートにおいては円安傾向に動く影響があります。
2012年11月16日は「79円」、2015年には「120円」を突破
野田政権の解散後、アベノミクスが発動してからは、80円代を割り「79円」となっていた対アメリカドルの交換レートも、2015年には「120円」を突破するという、見事な円安圧力が働きました。
党首討論において現在の安倍首相が当時の野田首相に対して、「それは約束ですね。約束ですね。よろしいんですね。」と何度も念押しをして、16日の解散の約束を取り付けた瞬間を筆者はテレビでリアルタイムで見ており、今から日本経済は大きな変化の局面を迎えると衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
2019年11月現在は112~114円程度で推移していますが、今後どのような変動をするのか期待したいところです。
アベノミクスの金融緩和施策
アベノミクスで実施された金融緩和施策は下記のスケジュールで行われました。FXの「アメリカドル/円」のチャートで大きな変化が発生している時期と、アベノミクスの金融緩和施策の実行時期が見事に一致していることが見て取れるかと思います。
- 2013年1月:「インフレ・ターゲットの採用」
- 2013年4月:「異次元緩和」
- 2014年10月:「追加金融緩和」
- 2016年1月:「マイナス金利付き量的・質的緩和」
上記の金融緩和施策が実際に発令される前に、要人発言などで市場が反応すると、ある程度織り込んだレートに変動します。そして実際に金融緩和施策が実行されることによって、チャートが一方向に対して強く動き出します。
リーマンショック以降はアメリカが金融政策を実施し円高傾向が続いていた
なお、「アメリカドル/円」が80円代を割る原因となったのは、直近の東日本大震災の影響もありますが、多くは2008年に発生したリーマンショックの影響になります。
世界的な金融危機が発生したことにより、円高傾向が長期間渡り続きました。その間、アメリカ政府による金融施策が立て続けに実施されてきたため、円高傾向は非常に強くなり、日経平均も1万円前後でもみ合いをするような状況が続いていました。
民主党政権解散後の自民党安倍政権下においては、このアメリカの金融緩和政策の成功を受けてアベノミクスが立案されたものと考えられます。
アベノミクスは「買い」ポジションで利益を出せる相場だった
FX取引を行なっている個人投資家にとっては、アベノミクスの相場は「買い」ポジションで利益を大きく出せる相場でありました。
このように、政治情勢の変化もFXで利益を出すためには敏感に情報をキャッチする必要があります。現在はプレグジットやトランプ大統領の発言などが注目されていますが、FX取引で利益を出していくためには、各国の政治情勢を見極め、大きな変化があったときにその影響力と方向性について客観的に分析できるようになることが大切です。
FXをこれから初めてみようとお考えの方は、是非下記の記事も参考にしてみてください。
FXとは?FX初心者のためのFXの仕組みと基礎知識を完全解説
政権交代など政治情勢もFXに大きな影響を及ぼす
各国の政権交代や方針変換など政治情勢の変化は為替レートにも大きな影響をもたらすため、FX取引で利益を挙げたいという場合には基本的な知識を抑えることが大切になります。
本サイトにおいても、FXチャートに影響のある経済指標・政治情勢・要人発言についてご紹介していきますので、参考にしてみてくださいね。